税金の控除ってなに?所得税の計算方法を見れば住宅ローン控除のお得さが分かります!

tax deduction

世の中、知っている人だけが得をして、知らないと損をする話がたくさんあります。特に、国が行なっている政策については、理解しているかそうでないかであなたの日常生活の”余裕”に大きな差がでます。

今回は、給与業務に携わっている立場から所得税にかかわる有益な情報をお届けします!
これを読めば、住宅ローンがあるとなぜ所得税がたくさん返ってくるのか、その仕組みも分かりますよ!

 

「所得税」って所得に応じて税率が決まってるんだから、安くなることなんてないんじゃないの??

いいえ、それがあるんです!
確かに、所得税は累進課税といって所得に応じて税率が決められています。しかし、「人それぞれ事情は違うので、その人の生活状況に合わせて税金を軽減させましょう」という考えのもと、国の政策として税金の軽減策が用意されています。これが、いわゆる所得税や住民税の「控除」というもの。

ここでは、所得税の話を中心に「控除」について詳しく説明していきますね!

注意

この記事は、給与収入のある方を対象としています

この記事を読んでほしい人
  • 控除って何かよく知らない人
  • 年末調整の仕組みが分からない人
  • 所得税の計算方法を知りたい人

控除ってなに?

控除とは、「差し引く」という意味です。所得税を計算するときに、ベースとなる収入から差し引くことができるものが所得税における「控除」です。
控除が適用されると、課税対象となる所得が低くなるので、結果的に支払うべき所得税の額も安くなるんです!

所得税の計算方法

ここでは、所得税がどのように計算されるのかを説明していきますね。計算と聞くと拒絶反応を起こしてしまう人もいるかもしれませんが、簡単な算数レベルの計算なので最後まで読んでみてくださいね。

所得税の計算を簡単な図で示すと次のようになります。計算は下の3つのステップから構成されています。

tax illustration

STEP.1 給与所得を求める
給与収入-給与所得控除=給与所得
給与所得控除とは、必要経費のようなもので収入金額に応じて法定されています。経費を引くことで、いわゆる「所得」を算出します。
STEP.2 課税対象となる所得を求める
給与所得-所得控除=課税所得
所得控除とは、個人の生活費等を勘案して適用されるもので14種類(年末調整では11種類)あります。ex.基礎控除、保険料控除、配偶者控除など
STEP.3 税率をかけて税額を求める
課税所得 × 税率(5~45%)-税額控除=税額
税額控除とは、年末調整では住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)のみが該当します。

さまざまな控除が適用されて、最終的な所得税額が決まっていることが分かりますね。単に「所得」に税率をかけているわけではないのです!

「給与所得控除」は収入金額によって控除額が決まっていますが、「所得控除」と「税額控除」は個人の生活状況を反映させるものであり、人によって控除の額が違います。年末調整または確定申告で自己申告することで控除が適用となるので、年末調整や確定申告は減税策を受けるための大事な手続きなんですよ。

 

年末調整は年間の所得税を精算する大事な処理!

給与をもらっている会社員であれば、毎年会社で「年末調整」を行なっていることでしょう。年末調整は、その年1年間の所得税にかかわる過不足を調整する大事な手続きです。保険料控除、特別配偶者控除、住宅ローン控除などは、この年末調整において反映されることになります。

よって、年末調整で申告する項目があればあるほど控除額が大きくなり、その年に払い過ぎた税金を返してもらうことができるのです。

もちろん、年末調整をやらなくても確定申告をすれば精算されます。ですが、会社員であれば年末調整は会社がやってくれますので、活用しない手はないですね!

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住宅ローン控除が減税率が高い理由

住宅ローン控除は他の控除よりも税金の戻りが多いってホント?

住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」と言います。その年の住宅ローンの年末残高の1%の額が10年〜13年に渡って所得税の控除対象となります。

確かに、住宅ローン控除は(その額にも拠りますが)、その他の所得控除と比べて税金の戻りが多くなります。その理由は、上の「所得税の計算方法」の図を見ると分かります。

保険料控除や配偶者控除などのいわゆる「所得控除」は、税率をかける前の所得から差し引かれています。あくまでもベースとなる所得から差し引かれているだけであり、直接的に所得税が減税されるわけではありません。
一方、「税額控除」である住宅ローン控除は、税率をかけた後に引かれています。つまり、住宅ローン控除は算出された所得税の額から直接差し引かれていることになり、大きな減税となるのです。

尚且つ、控除額自体が大きく、最大で40万円の控除(住宅ローンの年末残高が4,000万円以上の場合)となります。考え方にもよりますが、所得税のことを考えたら住宅ローンは住宅ローン控除の適用が終わるまで完済しない方が得かも知れませんね。

MEMO

住宅ローン控除を申告する場合、1年目はご自身で確定申告する必要があります!2年目からは年末調整で適用できますよ!

控除は増やせる!個人年金やiDeCoも控除の対象!

年末調整では、令和2年より「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」「保険料控除申告書」「住宅借入金等特別控除申告書」の3枚の申告書を提出することができます。

このうち、所得税・住民税対策としてすぐに実行できるものとしては、「保険料控除申告書」に記載できる内容を増やすことが挙げられます。

具体的には、

  • 控除額が上限に達していない項目の保険に優先的に加入する
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)をはじめる

などが考えられますよ。

もちろん、税金対策のためだけに余計なものに入る必要は全くありません!もし、「将来のために」ということを前提に考えているならば、税金対策にもなるので前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

注意

それぞれ控除額には上限があります!高額な保険に入れば所得税が安くなるということではありませんのでご注意を!

 

税金の控除って何?:まとめ

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いかがでしたでしょうか。
所得税や年末調整については、内容が複雑なので業務に携わっていないと理解しにくいかも知れませんね。ただ、ご自身が払っているお金のことなので、損をしないためにも理解を深めておくことが賢明です。

今回の内容について、もう一度簡潔にまとめておきます。

  • 「控除」とは、差し引くの意味
  • 所得税の控除には「給与所得控除」「所得控除」「税額控除」の3種類がある
  • 「給与所得控除」は収入によるが、「所得控除」「税額控除」は生活状況による
  • 会社員は年末調整で各種控除の申告ができる
  • 住宅ローン控除は減税率が高い
  • 税金対策として個人年金やiDeCoは効果的

年末調整の知識をつけて、国が用意してくれた減税策を大いに利用しちゃいましょう!

 

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