「標準報酬月額」という言葉をご存知ですか?初めて聞くという人もいるかもしれませんが、給与支給を受けている人はぜひ知っておきたい用語です。
ご自身の「標準報酬月額」を知っていると、いざという時に役立ちますよ。
- 給与支給を受けている人
- 社会保険の給付額を知りたい人
目次
標準報酬月額とは?
「標準報酬月額」とは、簡単に言うと社会保険料の額や保険給付(年金や傷病手当金等)の額を決めるための基礎となる金額のこと。
保険料や給付額は加入者の収入によって変わるのですが、人によって形態の違う給与(報酬)を1円単位まで考慮して算出するのは大変ですよね。そこで、例えば「月額報酬が100,000円~130,000円の人は120,000円として計算しましょう!」というように区切りの良い幅で基準となる金額を設定しているのです。
標準報酬月額にはそれぞれ等級がつけられていて、等級によって保険料の額が決まっています。参考までに、私学共済の保険料計算に使われている保険料額表をお見せしましょう。
出所:私学共済HP
月々の給与額を表中の「報酬月額」に当てはめることで、「標準報酬月額」が判別できます。この金額が年金や傷病手当金などの給付額を決めるときの計算にも使われているのです。
標準報酬月額の基礎となる「報酬」の範囲
報酬月額の対象となる「報酬」は、基本給はもちろん、役職手当、地域手当、扶養手当、通勤手当、住宅手当、残業手当など、労働の対償として事業所から支給されたものを全て含みます。また、年4回以上支給される賞与も標準報酬月額の対象となりますよ。
賞与にかかわる社会保険料の額は、「標準賞与額」によって決まります。基本的な考え方は標準報酬月額と一緒ですよ。
標準報酬月額の決め方
いいえ、標準報酬月額は毎月の給与額で変わるわけではありません。
入社してすぐの場合は、最初の月に支給される報酬で決まります。その後は、4月~6月の報酬の平均額で標準報酬月額を決定し、その年の9月から新しい標準報酬月額で保険料等が計算されることになります。これがいわゆる「定時決定」。ここで決まった標準報酬月額は、次の年の8月分まで適用されます。つまり、基本的に1年間は同じ標準報酬月額ということになります。
変わることはあります!
給与(報酬)に大きな変化があった場合には、標準報酬月額を見直すことがあります。
具体的には、固定的給与の変動によって給与(報酬)に大幅な増減があった場合には、定時決定の時期でなくても標準報酬月額が見直されます。これを「随時改定」と言います。
もっと詳しく説明すると、変動した月を含め3ヶ月の平均額が、それまでの標準報酬月額の等級に比べて原則2等級以上の差があると改定されます。ここでのポイントは「固定的給与」が変動した場合のみ見直しがあるということ。「非固定的給与」の残業代が増えただけでは、見直す対象になりません。
基本給、扶養手当、通勤手当、住宅手当、役職手当、現物給与(食事、通勤定期等現物で支給されるもの)など
【非固定的給与】毎月一定でないもの。
超過勤務手当、宿日直手当、皆勤手当など
他にも、産休・産後終了時や60歳以上の再雇用となる時などには、要件に該当して希望があれば標準報酬月額の改定を行うこともあります。
標準報酬月額:まとめ
最後に、「標準報酬月額とは何か」について簡単にまとめておきますね。
- 社会保険料や保険給付の額を決める基礎となる値!
- 会社から支給される報酬のすべてを平均した額!
- 原則4月~6月の月額報酬の平均で決まる!
「標準報酬月額」は聞きなれない言葉かも知れませんが、あなたの社会保険料の支払額や年金、傷病手当金などの額を決める基礎となる値であり、とても重要なものです。自分自身の標準報酬月額を知っておくと、いざとなったときに支給される手当の額を自分で計算することができるようになります!
「標準報酬月額」について、大雑把で良いので理解を深めておきましょう!