毎年5月~6月にかけて届く「住民税の税額決定通知書」。それを見て「なんでこんなに高いの?」「そもそもどうやって算出しているの?」と疑問に思ったことはありませんか?
今回は、給与担当者として住民税の仕組みについて分かりやすく解説します。税金の仕組みを理解すると、節税対策も理解しやすくなりますよ。
- 住民税の仕組みを知りたい人
- なるべく節税をしたい人
目次
住民税の金額はどうやって決まる?
住民税とは
住民税は、お住まいの都道府県や市区町村に対して納税する税です。
年の途中で引っ越しをする方もいると思いますが、住民税は「その年の1月1日現在に住んでいる都道府県及び市区町村」に納税することになっています。原則、国内に住所のあるすべての人が対象ですが、次の項目に該当する方は納税する必要がありません。
- 生活保護を受けている人
- 未成年、障害者、寡婦(寡夫)に該当し前年の所得が135万円以下の人(2021年度からの額)
- 自治体が定める「非課税」の基準に該当する人
自治体が定める基準については、自治体ごとに異なるため詳しくはお住まいの市区町村に問い合わせてみてくださいね。
住民税の納税額はどう決まる?
住民税は、「均等割」と「所得割」というものの合計によって決まります。それぞれの金額は次のようになっています。
均等割:金額は概ね5,000〜6,000円
所得割:課税所得に税率(通常は10%)をかけた額
その通り!均等割の5,000円程度は所得に関わらず課せられますが、所得割の額は所得が高いほど高く、所得が低ければ安くなる仕組みになっています。とはいうものの、所得税のような累進課税にはなっておらず、一律10%の税率で計算されます。
所得割のベースとなっている「課税所得」は、“所得”からさまざまな“控除”を差し引いたものです。つまり、、
となります。
ここでいう「控除」とは、簡単に言うと税金が減税されるもの。
例えば、すべての人が対象となる基礎控除や、ふるさと納税を含む寄付金控除、年末調整や確定申告で所得税から引ききれなかった住宅ローン控除や医療費控除などが該当します。もちろん、「控除」されるものが多ければ多いほど、税金は安くなります。
控除にはさまざまな種類があり、個人の事情によりその額は異なりますので、詳しく国税庁HPかお住まいの市区町村に確認してみてくださいね。
控除について理解を深めたい方はこちらを読んでみてください⇩⇩⇩
税金の控除ってなに?所得税の計算方法を見れば住宅ローン控除のお得さが分かります!
住民税の納税方法は?
住民税はいつ納税する?
収入に応じて決定した住民税は、収入があった翌年の6月から納める仕組みになっています。
例えば、令和4年6月~令和5年5月に収めるべき住民税は、令和3年の所得額によって決まった税額ということになります。
納税のタイミングは、納税方法の種類によって変わってきますのでご注意を。
住民税の納税方法は?
住民税の納税方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2種類に大別されます。両者の違いを比較すると次のようになります。
それでは、詳しくご説明しますね。
普通徴収
普通徴収とは、住民税を市区町村から送られてくる納付書を用いて個人で納税する方法で、主に個人事業主や退職した方などが対象となります。一般的には、年4回に分けて納付することができます。もちろん、1年分を一括納税することや、1期分と2期分をまとめて納税することも可能です。
概ね第1期が6月末、第2期が8月末、第3期が10月末、第4期が1月末となっています。納付期限は必ず守るようにしましょうね。不安であれば、預金口座からの自動振替を利用することをおすすめします。
特別徴収
特別徴収とは、給与や年金の支払い時に源泉徴収して納める方法です。主に会社員や年金受給者が対象となっており、会社員であれば給与天引きされるため個人で納税処理をする必要がありません。会社員の方は、特別徴収になっていれば毎月の給与明細に「住民税」の額が明記されているはずですので、確認してみてください。
「普通徴収」「特別徴収」のどちらが良いということはなく、働き方や勤めている会社があなたの年収を市区町村に報告しているかどうかで徴収方法は変わってきます。
転職の場合は注意が必要!
転職の場合、前の会社と今の会社とで住民税の引継ぎをしていない限り、「普通徴収」に変更されてしまいます。5月に市区町村から住民税の税額決定通知書が送られてきますので、それを持って人事担当者に「特別徴収」への切り替えをお願いしましょう。
ふるさと納税ってなに?
近年、節税対策として話題になっている「ふるさと納税」。
簡潔に言えば「住民税を寄付金という形で先払いすることで、返礼品がもらえる」というお得な制度のことです。遅かれ早かれ納める義務のある税金なので、納めた上に美味しい食べ物や電化製品が手に入るのですから、やらない手はないですね!
ふるさと納税については、こちらの記事に詳しく書いています⇩⇩⇩
ふるさと納税は本当にお得?制度の内容から方法まで分かりやすく解説します!
ふるさと納税の寄付金で控除できる額は、収入金額によって変わります。ここで言う収入とは、1月~12月までの収入金額なので、その年のふるさと納税をいくら分にするかは、12月のお給料の見込が出て年収が固まってから最終調整すると良いですよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
よく「住民税は住んでいる市区町村によって金額が全然違くて、東京23区は特に高いんでしょう?」と思っている方がいますが、それは大きな間違いです。どこに住んでいても、住民税の税率はほとんど変わりません。都市部に住んでいる方の住民税が高いのは、それだけ収入の多い方がたくさん住んでいるからですね。
ご紹介した通り、節税対策としてふるさと納税を活用するのは効果的です。まだ今年のふるさと納税をしていない方は、年末までに計画的に行うことをおすすめしますよ。
さて、私も美味しい食べ物を探してみることにします。